1.2 定義論を避ける
「eスポーツ」の範囲?
最初に考えないといけないこと:
問いの主語である「eスポーツ」はどこまでの範囲を指すのか。
しかし、こういう問い方をすると「eスポーツとは何か」という話、つまりeスポーツの定義論になってしまう。
定義論の難しさ
文化現象に対する「とは何か」式の問いは、よほど気をつけないと不毛な議論になることが多い(前提が共有されていないので話がかみ合わない、答えが出ないように思えるので極端な相対化に行き着く、あるいはただの独断的な強弁に行き着く、いつの間にかカテゴリーの特徴づけではなく言葉遣いや語源の問題にすり替わる、etc.)。
典型:「芸術とは何か」「インタラクティブとは何か」「インディーゲームとは何か」etc.
とくにeスポーツの場合は、制度の適用範囲をどこまで広げるかという実践上の(政治的と言ってもよい)問題に直結するため※、不用意な定義論を展開するのは地雷原につっこむようなもの。💣
※ 地域振興での活用や国体での種目化の試みなど、カテゴリー自体が行政の対象になりつつある。
eスポーツという括りから距離をとる
eスポーツというカテゴリーの境界画定にこだわることは、少なくとも本発表の趣旨にとっては重要ではない。
同じ理由で、「eスポーツはスポーツか」というおなじみの問いについても完全にスルーしたい。